名張市夏見に鎮座する一宮神社は、伊賀国の「一宮」を称する社で、正式な伊賀国一宮である敢国神社(伊賀市、斉明天皇4年=658年創建と伝わる)からの分霊を奉祀したとの伝承がある。夏見の地は古代より宗教的要地で、天武天皇の皇女・大来皇女が父の菩提を弔うため白鳳期(7世紀後半)に創建したとされる昌福寺(夏見廃寺)跡が残る。また「倭姫命世紀」によれば、倭姫命が天照大神を伊勢へ奉じる前に伊賀国名張郡に留まったとされ、この地域が元伊勢の候補地のひとつに数えられる。当社はこうした古代信仰の集積する夏見の鎮守として、地域の崇敬を担ってきた。