熊野那智大社の創建年代は不明だが、仁徳天皇の御代(4〜5世紀頃)に現在地へ社殿を造営したと伝わる。もとは那智の滝そのものを御神体とする自然崇拝に始まり、滝壺付近での祭祀が原初の形とされる。7世紀には修験道の聖地として知られるようになり、役小角がこの地で修行したと伝わる。奈良・平安時代を通じて皇族・貴族の熊野詣が盛んに行われ、特に宇多法皇(907年)以降の歴代上皇による熊野御幸が制度化された。11〜12世紀には院政期の上皇による「熊野御幸」が繰り返され、白河上皇9回、鳥羽上皇21回、後白河法皇34回、後鳥羽上皇28回と記録され、特に後白河法皇の34度の参詣は熊野信仰の最盛期を象徴する。中世には武…