東北地方、とりわけ下北・三戸地方で広く信仰される馬の守護神「蒼前様(そうぜんさま)」を祀る神社。南部地方は中世以来、丈夫で持久力のある「南部馬」の産地として全国に名を知られており、農作業・物資輸送・軍事に欠かせない馬と農民の暮らしは不可分であった。蒼前信仰はその馬と人が共に生きる文化のなかで育まれた民間信仰で、馬の安産・無病・駿足を祈るために各地の農家が社に詣でた。端午の節句(5月5日)前後には、農家が所有する馬に化粧を施して神前に奉納する「馬まつり」が行われてきた。新郷村西越の山間に鎮座するこの蒼前神社は、三戸郡の山村に受け継がれてきた馬信仰の拠点として、南部農民と馬が歩んだ暮らしの記憶を今…