泰平寺は鹿児島県薩摩川内市に位置する臨済宗の古刹で、創建年代は明らかでないが、中世以前より当地に存在していたと伝わる。寺が歴史の表舞台に登場するのは天正15年(1587年)のことである。豊臣秀吉は九州平定の軍を率いてこの地に至り、泰平寺を本陣として使用した。秀吉はここで薩摩の覇者・島津義久および義弘兄弟と会見し、島津氏に対して薩摩・大隅・日向三国の所領を安堵する交渉が行われた。この会見を経て島津氏は豊臣政権への服属を表明し、以後、文禄・慶長の役(朝鮮出兵)へと動員されることとなった。寺の名称「泰平寺」は、秀吉がこの地での平和交渉を記念して改称したとも伝えられている。近世以降も寺院としての法灯を…