信玄堤は、戦国時代の武将・武田信玄が16世紀中頃から築いた釜無川(現・富士川上流)の治水施設である。甲斐国は笛吹川・釜無川・御勅使川などが合流する低湿地帯で、たびたび洪水被害に悩まされてきた。信玄は1550年代から大規模な河川改修に着手したとされ、1560年頃までに将棋頭・高岩・雁堤などを組み合わせた複合的な治水構造を完成させたと伝わる。洪水の流れを分散・減勢させるこの工法は当時の土木技術の粋を集めたものであり、後世の治水工学にも多大な影響を与えた。江戸時代以降も堤の維持・補修が継続され、甲斐の農業生産と経済を支え続けた。明治以降は近代的な河川工事が進むなかでも構造の一部が残存し、1934年(…