神亀元年(724年)、聖武天皇の勅命により行基が開創した天台宗の古刹。逗子と横須賀の境に位置する鷹取山の山中に伽藍を構え、関東では珍しい深山幽谷の趣を残す山岳寺院である。吾妻鏡には源頼朝が北条政子の安産を祈願して参詣した記録が残り、鎌倉幕府との深い縁を持つ。また建保6年(1209年)には三代将軍・源実朝も岩殿寺とともに参詣している。本堂には薬師三尊像を安置し、古くから病気平癒の霊験で信仰を集めてきた。平安時代には円仁(慈覚大師)が再興したと伝わり、天台密教の修行道場として機能した。JR東逗子駅から鷹取山ハイキングコースを経由するルートは、自然の中を歩きながら古刹を訪ねる人気の散策路として親しまれている。境内には鎌倉時代の板碑や石造物が点在し、中世の信仰の痕跡を今に伝えている。