延暦寺横川(よかわ)は滋賀県大津市坂本本町に位置する比叡山延暦寺の三塔(東塔・西塔・横川)の一つで、最も北に位置する伽藍区。本尊は聖観世音菩薩で、横川中堂を中心に元三大師堂・恵心堂・四季講堂など多くの堂宇が点在する。神仏霊場巡拝の道第150番。横川は天長年間(824-834年)に円仁(慈覚大師、第3代天台座主)が開いた修行の地で、比叡山の中でも特に静謐な雰囲気を保つ。鎌倉新仏教の祖師たち—親鸞・道元・日蓮・法然—がいずれも横川で修行した記録があり、「日本仏教の母なる谷」と呼ばれる。元三大師(良源、第18代天台座主)は横川を再興し、おみくじや角大師(魔除けの符)の発祥地としても知られる。秋の紅葉や冬の雪景色が美しく、東塔(第113番)とは別個の番号で巡拝される。
延暦寺横川の起源は、天長年間(824-834年)、第3代天台座主・円仁(慈覚大師)が比叡山の北方の谷で修行し、首楞厳院(しゅりょうごんいん)を建立したことにさかのぼる。円仁は唐への留学経験から多くの経典・仏具を将来し、横川にこれらを収めて天台密教の中心地とした。その後、第18代天台座主・元三大師良源(912-985年)が荒廃していた横川を再興し、元三大師堂を中心に伽藍を整備した。元三大師は天台宗中興の祖と称えられ、おみくじを考案した「みくじの祖」、また鬼の姿で疫病を払う「角大師」の符でも全国に知られる。横川は東塔・西塔とは異なる独自の修行風土を育み、平安時代末期から鎌倉時代にかけて源信(942…